5月25日、小沢健二さんのライブ@中野サンプラザへ行った。
徒歩圏内だったので、徒歩で行った(2001年のおっかけ取材時は、NYまで行ったのに、よりによって徒歩圏内って…)。
初日組、仙台組からさんざんネタバレされていて、「要するに、舞台『小沢健二ものがたり』主演:小沢健二、って感じ?」と聞き返したのだけれども、「んー、まあそんな感じ。でも説明出来ないよ、観ないとわからない」と言われてた。「?」と思っていた。
内容的には、事前告知の通り、『LIFE』時のヒット曲を中心にしたもの。
でも、もやもや、もやもやと、
胸の痛むものでした。
ネットで出ているのは、ほとんどが「良かった」という手放しの絶賛。
でも、私の周囲の、重病のファンは、みんな
「未消化」
らしく、飲み会で、ツイッターで、限定公開の日記で、
ずーっと考え続けている。
私の頭の中に残ったイメージは
ラストで泣いた小沢さん/小沢さんを守るような演奏陣/ステージ上でただ一人、ひどく孤独な子供のように見えた小沢さん
ありがとう、となぜか思って、拍手をした私達/おめでとう、ありがとう(まるで『エヴァ』だ)
十数年前に、東洋の島国で、大衆音楽を作り、ヒットをとばした自分のこと、その曲が深く人々に愛され、十数年たっても、愛し続けている人がいること、人を救ったこと/己が生んだものでありながら、あらゆることがコントロール下にはなかったこと、それを認めること。
最凶強がりだった王子様の人間宣言/ステージの上での懺悔/まるで生前葬/いや全裸ショーかな、ああ、全裸になられちゃったら、こっちも全裸にならなきゃいけないんだ…。
そんな感じで、もしあれが「嘘泣き」だったら、もう何をされても仕方ないにゃ、と思った。
アーティストにああいう全力のボールを投げられた時って、本当に困る。自分に受け止める力があるのか、ファンとして投げ返せる力があるのか……もう、きっついなあ、今回は史上最大にきっついなあ、ばかあ、と思った。
消化できないゆえ、私達は
「あいつ死んじゃえばいいんだ、死んで伝説になれ!」
「いや、音楽やめて選挙に出ればいいんじゃないの? そんで地球を救えばいいじゃん」
「音楽家時代のものは、ぜんぶパチンコ屋に売っちゃって、資金作ればいいよ」
「じゃあ、『CRぱちんこ小沢健二』だねえ」
「ダッフル、ダッフル、んー東京タワーかよ! みたいなやつね」
「なんだかんだで、そういうの出たらホールに行くんでしょ?」
「ていうか、筐体買うかなー」
「買うのか」
「ま、そっちのほうが安いかもねえ」
「それはともかく、あーもういっかいライブ観たいなー」
「ぶっちゃけ、いくらだったの?」
「あ、うーんとね…」
「上海万博に行って帰れるくらい?」
「…シンガポール往復くらいかなあ」
「すげえな、金のある大人って」
「真似出来ないね!」
「いや、私、皆みたいに人脈ないからさあ…」
「……」
「……」
「しかしねえ、顔、痩せてたよねえ」
「ライトが後ろから当たってたから、ガイコツっぽかったね」
「体質がギャル曽根みたいなんでしょ?」
「いっぱい食うけど痩せてる系」
「べジっぽいイメージあるけど、べジではないみたいよ」
「渋谷系って、痩せてりゃエライみたいなの、あるよねー」
「あるある、男女ともに」
「何だろねアレは」
「未成熟っぽいのがいいんだろうね」
「でも、年とってガリガリ猫背って、格好いいのと貧相なのと、パターン分かれるよね…」
「身体と顔には人生が出ちゃうからねえ…」
「デブで渋谷系…って、いたっけ?」
「…あ、いるいる。見た目、手塚治虫キャラ系のデブが多いかな」
「どうでもいい話だな」
「…ってうか、まとまんねえ!!」
とかとか、しょもない話しかしていない…。
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ああ、もう。
こういう感じ。若い日の、ひどい恋に似ているのかな。
どっかで偶然、相手に逢った時に、ちゃんと喋れるのかな。
初めて、うっかり同じ空間にいたのは、ずっとまえ。
17歳と21歳の私たち。
下北沢ZOOの狭い階段でぶつかって
「ごめんねー」という声。
振り返ると、「あ、小沢さん」。
アイドルというよりは、いろんな世界を見せてくれる、
引っ張りまわしてくれる、
少し年上のミュージシャン、という感じだったから
「わあ、本人」と思っただけだった。
その後ずっと、彼のことを考えることになるなんて、
夢にも思わなかったけど。
小沢さんの今の人間性がどうだか知らないけど
あの日の彼の歌は
いとおしくて
いとおしくて
いとおしくて
さわってもさわっても遠い
猫みたいな存在で
泣かないで、とも思ったんだけど、
泣いてもらわないと、いろいろ分からなかった。
分からなかったんだよ。
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追記
「本当に欲しい人には、チケットがまわってくる伝説」。
今回のような争奪戦時、
長年ファンの人がチケット落選した場合、
友人ネットワークで、当選者から譲ってもらえます。
「あの人は私より重病だから」という理由でチケットが動いたケースを、
今回は、何度も何度も見ました。
なんと珍しい、美しい助け合い。
今回、知人が風邪をひき、40度近い熱を出し
観覧断念したんですが、
その時のチケットのゆくえも早かった。
好きなのに、どうしてもどうしても入手出来なかった人に電話、
「今日、夜、大丈夫!?」
「はあ?」
予定はなぜか、空いていた。
そんなわけで、彼は無事観覧…。
発熱した人も、たぶん観に行ける気がする。
皆も本気出せば、行けるはずよ(まあ、頑張りようもないんだけど)。
とりあえず、
「自分の人生で、小沢さんと関わったことがあるなあ」
と思ってる人は、絶対に行ったほうがいいです…。